2024/11/29 11:37:50
  • 東雲研修センター  ニュースレター No.66

  東雲研修センター  ニュースレター No.66
{COL2}様

 いつも東雲研修センター及び公式HPをご利用頂きましてありがとうございます。

   2025年4月に改正建築物省エネ法が施行され、省エネ基準への適合が義務化されます。現在の制度で、省エネ基準の適合が義務付けられているのはごく一部の建物ですが、改正法の施行後は原則全ての建物に省エネ基準への適合が義務付けられます。気候変動やエネルギー危機への対応として、世界中でカーボンニュートラルや脱炭素への取り組みが進められていて、日本でも温室効果ガス排出削減への取り組みが推進されています。そのような中で、日本の温室効果ガス排出量の約1/3 を占めている建築物のエネルギー消費量を削減する為に、建物の断熱性能の向上や再生可能エネルギーの利用に期待が持たれています。

 こうした背景を踏まえて施行される「省エネ基準適合義務化」について、今回は皆さんと一緒に学んで行きたいと思います。


                                  橋本総業株式会社
                                  東雲研修センター事務局


INDEX
【1】研修情報‥‥東雲研修センター 定期研修情報
【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座‥‥【省エネ基準適合義務化】
【3】省エネ適合性判定の申請手続き
【4】編集後記‥‥エコ次郎の小ネタ横町
 
【1】東雲研修センター 定期研修情報
 東雲研修センターの定期研修は、直接のお客様だけでなく、メーカー様や関係団体、橋本総業(株)と多少でも関係のある方々でしたらどなたでも受講できます。
 現在東雲研修センターで募集している研修のご案内です。特徴は、座学だけでなく研修によって現調、試運転、設置、組立などの実習が含まれていて、ホームページから申し込みが出来ます。是非ご検討下さい。




【現在受講生募集中の直近4ヶ月の研修一覧】
12月12日(木)配管接続研修10:00〜14:008,000円15名
1月16日(火)ガス給湯器・ハイブリッド給湯器現調研修10:00〜15:008,000円15名
1月28日(火)システムバス現調研修10:00〜15:008,000円15名
2月6日(木)エアコン施工研修10:00〜17:0012,000円10名
2月18日(火)キッチン現調・施工研修10:00〜16:008,000円15名
2月27日(木)便器・WL設置研修10:00〜15:0010,000円15名
3月27日(木)エアコン施工研修10:00〜17:0012,000円10名

 ◎東雲で開講の研修は昼食をご用意しています。
 ◎受講料は税込です


2025年3月までの研修スケジュール・お申し込みは こちらから


【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座
本日のお題 【省エネ基準適合義務化】
エコ娘 エコ次郎先生、こんにちは。すっかり冬になりましたね。最近こたつに入り始めたらなかなか出られなくて、毎日困ってます!笑
そんな私ですが、今日もエコ次郎先生に教えて頂きたい事があるんです。私の叔母さん家をリフォームする事になって、キッチンと玄関ドアの交換と全部の窓に内窓を付ける事になったんですけど、叔母さんワガママだから「あれもヤダ!これもヤダ!でもリフォームはしたい!」って無茶な事ばっかり。それで「じゃあ今の家は壊して新築で好きな家を建てれば?!」ってママが言ったら、「これからの新築は基準が厳しくなって好き勝手に建てられないからヤダ!!」って!ああ言えばこう言うにかなり呆れてるんですけど、“これからの新築は基準が厳しくなる”って言うのが気になって、どういう事なのかエコ次郎先生に聞いてみようと思っていたんです!
エコ次郎 エコ娘くん、こんにちは。叔母さまのお家のリフォーム、楽しみですね。
新築の基準が厳しくなる事を、叔母さまは良くご存知ですね。仰る通り、2025年4月から原則としてすべての新築建築物に省エネ基準の適合が義務化されるんですよ。このメルマガで何度も登場している「2050年のカーボンニュートラル実現」に向けて、建築物の省エネルギー性能の向上が求められていますが、建築物省エネ法(通称 省エネ法)の改正によってそれが更に強化される形です。その背景には、建築物のエネルギー消費量が日本の温室効果ガス排出量の約1/3 を占めている現状があり、その削減が喫緊の課題なのです。
エコ娘 建物からの温室効果ガスの割合ってそんなに多いんですね!
しかし省エネ法改正なんて専門的な事を叔母さんが知っていたことに、改めて驚きです(笑)
エコ次郎 この影響範囲は大きく、改正の内容を理解することは建築業界に携わる方にとって必須事項と言えますので、業界に携わっていない叔母さまはとても勉強家と推察します。エコ娘くんは叔母さまに似たのですね!
エコ娘 えっ、ちょっと嬉しくないかな(笑)
エコ次郎 あ、、それは大変失礼いたしました...。
2025年の改正もなのですが、今年も改正された点があるので、それも交えて解説したいと思います。
2024年の改正は、延床面積2,000m2以上の大規模非住宅建築物の省エネ基準の引き上げです。 BEI基準値 (一次エネルギー消費量の基準 Building Energy Index) が改正前の1.0から、工場等が0.75に、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等が0.8に、病院等・百貨店等・飲食店・集会所が0.85に、それぞれ引き上げられました。つまり、建物の種類によって15%〜25%もエネルギー消費量を抑える必要があり、従来通りの設備や設計では基準を満たせなくなったのです。その為、より高効率な設備の導入や、建物の断熱性能向上など、省エネ対策がこれまで以上に重要になります。
エコ娘 結構ガッツリ引き上げられちゃったんですね。地球の為には仕方がないけど、設計とか技術面での苦労が増えそう。
エコ次郎 正にその通りで、従来の設計手法では基準を満たせない場合もあるため、設計部門は新たな技術習得や知識・スキルが求められ、専門家との協力体制の構築が必要になります。場合によっては社内に省エネ適合性判定(省エネ適判)への対応を専門とする部署を設けたり、設計や施工の現場では、省エネ基準への適合を確実にする為の品質管理体制の強化も重要になりますね。
エコ娘 省エネ適合性判定って?
エコ次郎 建築物が省エネ基準に適合しているか判定するものです。
エコ娘 ふ〜ん、それってどの建物も受けるんですか?
エコ次郎 良い質問ですね!今現在は、省エネ基準の適合が義務付けられているのは床面積が300m2以上の非住宅の建築物に限られていて、住宅に関しては300m2以上が届出義務、300m2以下であれば説明義務に留まっていますが、2025年4月以降に着工を予定している原則全ての建築物は、建築確認手続きの中で必ず省エネ適合性判定を受ける事になり、もし基準を満たしていないと着工が出来なくなります。この点が2025年4月の重要な改正点ですので覚えておいて下さいね。
エコ娘 へぇ、なるほど。義務だから当然なんだけど、厳しいですね。
ちなみに、その判定ってどこがやってくれるんですかー?
エコ次郎 所管行政庁や登録省エネ判定機関になります。
登録省エネ判定機関とは、国土交通大臣又は地方整備局長などから、省エネ適合性判定を行う者として登録を受けた民間機関で、建設地の所管行政庁から委任を受けた登録省エネ判定機関に依頼することで、省エネ適合性判定を受けることが出来ます。審査は1〜2週間程度かかると言われていますが、場合によっては更に時間がかかることもありますので、着工の1〜2ヵ月前には省エネ適合性判定の申請に必要な省エネ計算を始める事をお勧めします。
エコ娘 その判定を無事にクリアして、もしその後に設計に変更が出た場合ってどうなるんですか?うちの叔母さんみたいな人だと「やっぱりここはこうしたい」とか出て来そうだから、ちょっと気になって。
エコ次郎 もし建築計画に変更が生じた場合は、省エネ適合性判定の変更計画書を提出する必要があります。この場合、改めて省エネ適合判定通知書を受けなければ確認済証が交付されません。
エコ娘 ですよねー。何度もやり直しするのは手間だし、どんどん工事も遅れちゃうから、事前の打ち合わせはしっかり詰めて、変更点はもう無いことを確認してから省エネ適合性判定を受けるべきですね。
エコ次郎 その通りですね。上手くまとめて下さってありがとうございます(笑)
では、次の項目では、この後エコ娘くんから質問されると思われる「省エネ適合性判定の申請手続き」の流れについて説明させて頂きますね。
エコ娘 エコ次郎先生、良く分かってる〜ぅ☆ 正に聞こうと思っていたので、よろしくお願いします!
エコ次郎 はい、お任せ下さい♪

【3】省エネ適合性判定の申請手続き

 省エネ基準適合義務化に伴い、2025年4月以降に着工される原則全ての建物が受ける事になる「省エネ適合性判定」。ここではその手続きについて解説します。

[1] 建築確認申請
 建築主が、建築主事又は指定確認検査機関に建築確認申請を行います。
 ※この時点では、省エネ適合判定通知書の提出は不要

[2] 省エネ計画書類提出
 建築確認申請が完了したら、所管行政庁又は登録省エネ判定機関に省エネ基準に適合した省エネ計画書類を提出して、審査を依頼します。

[3] 省エネ適合判定通知書の交付
 所管行政庁又は登録省エネ判定機関が提出書類を審査し、そこで省エネ基準に適合していると判定されれば、省エネ適合判定通知書が交付されます。

[4] 省エネ適合判定通知書の提出
 建築主が建築確認申請を行った建築主事又は指定確認検査機関に、省エネ適合判定通知書を提出します。

[5] 確認済証の交付
 建築主事又は指定確認検査機関が、省エネ適合判定通知書と建築確認申請書の整合性を確認後、確認済証を交付します。省エネ基準適合義務のある建築物の場合、完了検査時にも省エネ適合性判定を行った計画書の検査を受ける必要があります。省エネ適合性判定にかかる項目に変更が無ければ、そのまま検査を受けられます。但し、計画変更や軽微な変更がある場合は手続きが必要です。


建築計画に、
 ・建築基準法上の用途の変更
 ・モデル建物法を用いる場合のモデル建物の変更
 ・計算方法の変更(モデル建物法から標準入力法に変更した場合など)


上記のような変更が生じる場合は、省エネ適合性判定の変更計画書を提出する必要があります。この場合、改めて省エネ適合判定通知書を受けなければ、確認済証が交付されません。

 [A] 建築物の省エネ性能を向上させる変更
 [B] 一定の範囲内で省エネ性能を低下させる変更
 [C] 再計算によって、省エネ基準に適合することが明らかな変更


 [A] [B] の場合、完了検査申請時に「軽微な変更説明書」と添付図書を提出することで完了検査を受けることが出来ます。
 [C]の場合は、完了検査申請前に所管行政庁又は登録省エネ判定機関に軽微変更該当証明申請を行って、証明書の交付を受ける必要があります。「軽微な変更説明書」と「軽微変更該当証明書」を提出する事で、完了検査を受ける事が可能になります。




国土交通省からのお知らせもご覧下さい

 (1) ルールを改正します
 https://www.mlit.go.jp/common/001744375.pdf

 (2) 省エネ基準適合が義務付けられます
 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001519931.pdf



【4】編集後記 〜エコ次郎の小ネタ横町〜

 皆さま、こんにちは。エコ次郎でございます。今年は暑過ぎる長い夏を乗り切りましたが、あれよあれよと言う間に今度は冬がやって来て、寝具や衣替えが追い付きません。ゆるやかな季節の変化は、もうあり得ないのでしょうか…?

 建築物にも温室効果ガス排出量の削減が更に厳しく求められる時代になりましたが、先日TVの情報番組を見ていて、やはり昨今の様々な環境問題への取り組みは必要不可欠だと感じました。今夏、全国の農家を苦しめたツヤアオカメムシ、あれは従来四国や九州方面の温かい地方でしか生息していなかったのですが、温暖化の影響でどんどん北上して来ているのだそうです。今まで影響の無かった地域では、本来不要だった農薬を撒かなくてはならず、無農薬栽培が困難となっているそうです。

 我が家はごく一般的な戸建ですが、今夏はどこから入って来たのか、家の中にツヤアオカメムシが常に2匹は居る時期があり、大の虫嫌いの妻の目に留まるとそれはそれは悲惨で、本当に困りました。しかしTVで見た梨農家の方は、せっかく育って来た梨の実の果汁を吸われてその部分が凹んでしまい、全体がボコボコした奇形果になると言う最悪な被害を受けていました。害虫による被害はどこに怒りをぶつけたら良いのか、本当にやるせないと思います。

 しかし、虫の生態系に影響を与えているのは間違いなく私たち人間です。一見こちら側が被害に遭っているように感じますが、本当の被害者は地球温暖化で生態系に変化が生じている虫たちです。農作物を食べ生きている私たち人間にとって、害虫駆除は重要な対策ですが、これ以上彼らに悪影響を及ぼさなくて済むように、やはり私たち人間は温室効果ガス排出削減に真剣に取り組まなくてはなりません。皆で知恵を出し合って、より効果的な取り組みを模索して行きたい、私はそう考えます。




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