2024/10/30 15:34:59
  • 東雲研修センター  ニュースレター No.65

  東雲研修センター  ニュースレター No.65
{COL2}様

 いつも東雲研修センター及び公式HPをご利用頂きましてありがとうございます。

   皆さんは太陽光パネルのリサイクルについてご存知のことはお有りでしょうか?普及が進む太陽光発電ですが、寿命を迎える太陽光パネルが一気に増え、埋め立て処理場の逼迫が懸念される「2030年問題」が秒読み段階に入って来ました。現在は殆どを最終処理場に埋め立てていますが、2030年問題が来る前にリサイクルを義務化するべく国は対応を急いでいます。しかし、リサイクルを法律で義務付けても、実際にリサイクルの技術とシステムを構築しなくては意味がありません。そしてそれはいくつかの課題を抱えており、一筋縄では行かないのです。2050年のカーボンニュートラル実現の為にも、エネルギー安全保障の観点からも、太陽光発電は重要な役割を担っていますので、リサイクルの課題は重要なミッションです。

 今回は、現在の太陽光パネルの廃棄について、また、リサイクルをするに当たっての課題は何なのか、にフォーカスして一緒に学んで行きたいと思います。


                                  橋本総業株式会社
                                  東雲研修センター事務局


INDEX
【1】研修情報‥‥東雲研修センター 定期研修情報
【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座‥‥【太陽光パネルの廃棄およびリサイクルの課題】
【3】国内外で進む太陽光パネルリサイクルへの取り組み
【4】編集後記‥‥エコ次郎の小ネタ横町
 
【1】東雲研修センター 定期研修情報
 東雲研修センターの定期研修は、直接のお客様だけでなく、メーカー様や関係団体、橋本総業(株)と多少でも関係のある方々でしたらどなたでも受講できます。
 現在東雲研修センターで募集している研修のご案内です。特徴は、座学だけでなく研修によって現調、試運転、設置、組立などの実習が含まれていて、ホームページから申し込みが出来ます。是非ご検討下さい。




【現在受講生募集中の直近4ヶ月の研修一覧】
11月8日(金)ガス可とう管資格研修10:00〜17:0017,000 円30名
12月12日(木)配管接続研修10:00〜14:008,000円15名
1月16日(火)ガス給湯器・ハイブリッド給湯器現調研修10:00〜15:008,000円15名
1月28日(火)システムバス現調研修10:00〜15:008,000円15名
2月6日(木)エアコン施工研修10:00〜17:0012,000円10名
2月18日(火)キッチン現調・施工研修10:00〜16:008,000円15名
2月27日(木)便器・WL設置研修10:00〜15:0010,000円15名

 ◎東雲で開講の研修は昼食をご用意しています。
 ◎受講料は税込です


2025年3月までの研修スケジュール・お申し込みは こちらから


【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座
本日のお題 【太陽光パネルの廃棄およびリサイクルの課題】
エコ娘 エコ次郎先生、こんにちは。今日もまた教えて頂きたい事があるんです!
今って太陽光パネルが敷き詰められた土地が多いじゃないですか。何か建物が建つのかな?って思ったら太陽光パネルでした、っていう事も多いし、新しいお家が建つんだ〜って思っていたら屋根に太陽光パネルが設置される事も多いし。地球に優しい発電方法だし、設置すれば発電できるから効率が良いんだろうなって思うんですけど、半永久的に発電できる訳ではないんですよねぇ?近所でちょっと前に屋根の上の太陽光パネルを外したお家があって、何でだろう?って思ったら、太陽光パネルには寿命があるって教えてくれて!全然知らなかったから聞いて驚いちゃいました。
エコ次郎 エコ娘くん、こんにちは。今は太陽光パネルに興味をお持ちなんですね、さすがです。
仰る通り、太陽光パネルには寿命がありまして、一般的な太陽光パネルの寿命はおよそ20〜30年と言われています。これは「期待寿命」と言いまして、実際に利用できると想定される年数を指しています。期待寿命とは別に「法定耐用年数」と言う国税庁によって税法上で決められている年数もあって、こちらは17年と定められています。法定耐用年数は税法の減価償却のために決められた数字ですので、期待寿命を実際の寿命と考えて良いでしょう。
エコ娘 へぇ、太陽光パネルって結構長持ちするんですね!
エコ次郎 そうですね。家電製品は大体が10年前後で故障してしまう事が多いので、太陽光パネルは長寿命ですね。家電には可動部が多いのに対して、太陽光パネルには可動部が少ないのが理由のようですよ。
エコ娘 なるほどぉ。でも、それでもいずれは寿命が来ちゃうんですもんね...。近所のお家みたいに太陽光パネルに寿命が来た時ってどうすれば良いんですか?冷蔵庫とかテレビとかの家電は「家電リサイクル法」で処分の方法が決まってるじゃないですか。小さい家電なら燃えないゴミの日に出すって決まっているけど、太陽光パネルってどうなってるんだろう?さすがに自分で捨てるのは無理ですもんねぇ。
エコ次郎 そうですね。屋根の上ですので取り外す事も自分では出来ませんし、燃えないゴミに出せる大きさでもないですのでね。それに何より、太陽光パネルにはカドミウムや鉛、ヒ素、ポリシリコンといった猛毒性の物質がたくさん含まれているため、そもそも個人で処分することは出来ません。ですので処分を決めたら専門業者に依頼をすることになります。
エコ娘 そうなんですか?!そういう物質が使われてるっていう事に驚き!
ちなみに屋根の上の太陽光パネルを廃棄するのに費用ってどれくらい掛かるものなんですか?
エコ次郎 費用も気になりますよね。
屋根から太陽光パネルを取り外す際の足場代を含めた撤去作業費用は約10万円程度です。取り外した太陽光パネルは1枚当たり約1,200円で回収されまして、それに加えて距離に応じた運搬費も掛かります。例えばパネル20枚だと運搬費のトータルは約5万円くらいだと言われていますので、撤去と廃棄で最低でも15万円程度です。
それとは別に、屋根の修理代が掛かる場合もあります。架台を固定していた箇所に穴が残っていたことによる雨漏りが生じた場合や、撤去の際に瓦が割れた場合などで、放っておくと屋根だけの問題では済まなくなるので、雨漏りが確認できた場合はできるだけ早く委託した専門業者へ連絡して頂きたいです。
エコ娘 わ〜ぉ、何だかんだ結構掛かるんですね。設置する時にその辺りも良く考えてからにした方が良さそうだなぁ。
あ、そうだ!廃棄のことをもう少し詳しく知りたんですけど、太陽光パネルって取り外された後はどう扱われるんですか?産業廃棄物になるだけ?
エコ次郎 大変良い質問ですね!現在、廃棄パネルの処理はほぼ全てが埋め立てですが、このまま再資源化が進まなければ埋め立てをする最終処分場が逼迫する可能性が高いです。実は太陽光パネルには「2030年問題」がありまして、太陽光発電の導入は固定価格買い取り制度(FIT)が始まった2012年以降に急拡大しましたが、20〜30年で耐用期間を終える太陽光パネルが、2030年代後半以降年間50〜80万tが排出されると想定されています。仮に年間廃棄量が50万tだとしても、リサイクル義務がある冷蔵庫が年間およそ22万tなので、実に冷蔵庫の2倍以上!こんな状態で最終処分場が逼迫すると、処理に困った人や業者による不法投棄の懸念が高まります。これは大問題ですよね。
そこで政府は、使用済みの太陽光パネルのリサイクル義務化を検討しています。埋め立て処分を減らして環境への負荷を抑えることを目的として、2025年の通常国会にも関連法案を提出する予定です。
エコ娘 廃棄量が冷蔵庫の2倍以上とか、不法投棄の懸念とか、マジでヤバイですね!!しかもあんなあからさまに燃えないものが殆ど埋め立て処分されてるってのも信じられない......。早くリサイクルが義務化されると良いですね!
エコ次郎 そうですね。私もそう思います。そう思います、が!リサイクルを義務化する為にはまだまだ課題があるんです。
リサイクル技術はまだ発展途上にあると言われているのですが、その理由の1つに「太陽光パネルの構造や材料が複雑」な点が挙げられます。太陽光パネルは多くの部品や素材で構成されていて、それぞれに適したリサイクル方法を見つけるのが困難なのです。例えば、結晶系の太陽光パネルでは、ガラスやアルミニウムなどの金属部分は比較的容易に回収できますが、シリコンや重金属などの半導体部分は高温や化学処理などが必要となります。また、薄膜系の太陽光パネルでは、有機物や無機物の薄い層を分離するのが難しく、高効率で高品質なリサイクル製品を得ることが出来ません。実際、太陽光パネルのガラスは不純物が多く、現在の主な用途は建材用の断熱材などに限られています。
もう1つの理由は「太陽光パネルをリサイクルできる業者が少ない」からです。太陽光パネルは長寿命が故に廃棄される量はまだ少ないので、リサイクル市場も小さく、リサイクル業者も少ないのが現状です。そして太陽光パネルは回収やリサイクルにかかるコストが高く、利益が出にくいという問題もあります。
今後リサイクルを円滑に行っていく為には、パネルの分離・リサイクル技術を開発して、リサイクルできる体制を整えることが必要不可欠と言えます。
エコ娘 んん〜、リサイクルの義務化って簡単に言っても、安定的にやるには難しい課題なんですね。予想よりもずっと大変な話しだったから逆に義務化に間に合うのかが心配になっちゃったけど、何とか頑張って技術を見つけて欲しいです!
エコ次郎 本当にそうですね。太陽光発電は火力発電などとは違って二酸化炭素を排出しないので、2050年のカーボンニュートラル達成には不可欠な存在ですし、化石燃料資源の乏しい日本にとってエネルギー安全保障の観点からも太陽光発電は重要ですので、リサイクル技術の確立とリサイクル義務化には一層の期待が高まっています。
なかなか難しい中でも、国内外で少しずつリサイクルへの取り組みが進んで来ていますので、次の項目ではそれらについてご紹介したいと思います。
エコ娘 へぇ〜それは面白そう!ぜひ知りたいのでよろしくお願いします(^^)/
エコ次郎 はい、こちらこそよろしくお願いいたします(^^)

【3】国内外で進む太陽光パネルリサイクルへの取り組み

太陽光パネルの大量廃棄が見込まれる2030年代に向けて、国内外で太陽光パネルのリサイクルに取り組む企業や自治体が少しずつ増えています。

【アメリカ】
 エネルギー省(DOE)は2023年3月、太陽光パネルのリサイクルを担うSolarcycle社に補助金150万ドルを提供しました。2035年までの政府目標「電力部門のCO2(二酸化炭素)排出量ゼロ」の達成が狙いです。そして、Solarcycle社は同年5月に、世界的な発電企業AES Corp.とリサイクルサービス契約を締結しました。両社で協力し、使用済み太陽光パネルのリサイクルに取り組んでいます。2024年には使用済み太陽光パネルからソーラーガラスを製造する工場の建設も発表され、2026年の稼働を目指しています。


【ヨーロッパ】
 ヨーロッパでは2007年、使用済み太陽光パネルのリサイクルシステム構築を目的とする非営利団体PV CYCLEが設立されました。PV CYCLEは欧州太陽光発電協会・ドイツソーラー産業協会・太陽光パネルメーカー6社からなり、ベルギーに本部を置いています。加盟企業から徴収した会費で運営され、設備回収から処理までを担う団体です。
 PV CYCLEでは2010年のシステム運用開始から約5年間で、ヨーロッパ全域から13,000t以上の太陽光パネルを回収した実績があります。2012年のWEEE(Waste Electrical Electronic Equipment)指令改正以降は、製造者が各国の国内法を遵守するためのサポートも行っています。


【福岡】
 福岡県では、各地に点在する廃棄パネルの情報をクラウド上で共有し、効率良く回収・リサイクルする「廃棄太陽光パネルスマート回収支援システム」の運用を令和3年から開始しました。
 システムに登録するのは、メンテナンス・収集運搬・リサイクルを担う各事業者で、メンテナンス業者は収集・リサイクルの手配を一元化でき、収集業者は効率的な回収ルートが分かるなど、多方面にメリットがあります。また、住友商事株式会社/三井住友ファイナンス&リース株式会社/SMFLみらいパートナーズ株式会社/株式会社アビヅ/株式会社SMARTの5社では、2024年から使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル事業に向けた実証実験への取り組みを開始しました。主な実証実験の内容は、「サプライチェーン構築のために必要となる使用済太陽光パネルの確保」と「リユース・リサイクルされた太陽光パネルの販路確立」です。5社は、廃棄パネルの排出がピークを迎える2030年代までの持続可能なサプライチェーンの構築を目標に掲げています。


【株式会社新見ソーラーカンパニー(岡山県)】
 同社は、太陽光パネルを95%リサイクルできる熱分解処理装置の開発に成功。廃棄太陽光パネルのアルミフレームを取り外して投入すると、600度以上の過熱水蒸気で封止材(接着剤)やバックシート(プラスチック材)は気化させ、重量ベースで7割を占めるガラス片や、銅線、電池セル(シリコン、銀など)に分解して取り出すことが出来ます。処理能力は1時間に10枚、24時間365日稼働すると、最大で年間9万枚(1枚1.7×1メートル、約2000t)程度になる見込みです。1号機は倉敷市の西建設に廃棄物処理の許可手続きなどを経て、2025年度中に引き渡される見通しです。この他にも3号機まで導入の準備をしており、全国展開を進めています。
 これと併行して、廃棄太陽光パネルから新しい太陽光パネルをつくる水平リサイクルの実現を目標に、一般財団法人PVリボーン協会(同県西粟倉村)を立ち上げ、再生・循環の仕組み作りや技術開発にも取り組んでいます。


【ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社(長野県)】
 2005年より太陽光パネルのリユース事業へ本格的に乗り出した同社は、洗浄→機能測定→評価の工程を経てパネルの性能を保証。絶縁状態や出力量のチェックで合格すれば再販、不合格ならリサイクルに回し資源化します。これまでに14万枚を超える様々な中古モジュールを検査し、故障要因を分析して来たデータを活かし、厳格な中古太陽電池モジュールの審査基準「REBORN」を構築。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再販時に必要な性能評価ガイドライン案」の素案作りにも協力、貢献しました。



【4】編集後記 〜エコ次郎の小ネタ横町〜

 皆さまこんにちは、エコ次郎でございます。やっと本格的な秋になったと思ったら、もうクリスマスケーキやおせち料理の予約が始まりました。早くないか?と思うけれど、年末までもう2ヶ月なんですよね。時間の流れが早いです。いや、早過ぎますね...。

 さて、今回は日本橋を走るUber Eatsのデリバリーロボットの話題です。先日ふと気が向いて、東銀座から神田まで歩きました。東京駅に近い昭和通りの信号で止まった時です、目の前に深緑色の箱が信号待ちをしていました。背が低いので旗が立てられていましたが、あまり目立たないので存在に気づかず、意外と足を引っ掛けてしまいそうになる方が多かったです。信号が変わると箱の上部のランプが点き、まあまあなスピードで渡って行きました。その後もデリバリーロボットは歩道を走り、行き交う人の間を上手い具合に進んではまた次の信号で一緒になる、の繰り返しで、恐らく400mくらいは私の近くに居たと思います。最後は脇道に曲がってしまったので別れてしまいましたが、依頼主が商品を受け取る場面も一度見てみたいと思いました。

 しかし都会のど真ん中は、地方と違って時代の進化が凄まじいですね。新しい革新的なサービスの発表を聞く度に「これは凄い!」と驚きますが、地方にはなかなか反映されない事も多く、全く別の国のことのように感じる事もあります。

 話は戻って、非常に便利に感じたデリバリーロボットですが、後ほどGoogle検索して出て来たサービス発表時の動画では、発進する際には音声で周囲への呼びかけがあったのですが、実際は無言のまま走り出し、それも速度が速く、“ロボットが人を避けている”と言うよりかは、“人がロボットを避けている”感じで、いずれ事故が起きる予感がしました。既に実用化されて半年以上が経っているようですが、安全面が更に強化されたら益々活躍に期待が膨らみますね。私は残念ながら対象区域にはおりませんが、静かに今後を見守りたいと思います。



[発行] 東雲研修センター  https://www.eco-reform.org/
    東京都江東区東雲2-9-7   東雲配送センター内
    営業日 月〜金:9時〜17時  土:応相談
    お問い合わせ 03-3665-9033(本社窓口)

 ※送信が不要の場合は、その旨このメールへの返信でご連絡ください。