2023/11/29 13:02:19
  • 東雲研修センター  ニュースレター No.54

  東雲研修センター  ニュースレター No.54
{COL2}様

 いつも東雲研修センター及び公式HPをご利用頂きましてありがとうございます。

 今年も世界で全固体電池の開発が加速していますが、6月にトヨタが「2027年頃を目処に全固体電池搭載のEVの実用化を目指している」と発表をして、世間の全固体電池への期待は更に高まりました。日産の2028年実用化が最短だと考えていたので、1年前倒しには世界中が驚きましたし、急速充電時間も航続距離も驚異的な目標数値を掲げていますので、これを機に各社各グループでの研究が更に加速すると思われます。
 いよいよ私たちの生活でも大きな影響が得られるようになりそうですが、実は全固体電池を良く知らないという方も多いのではないかと思います。そこで今回は、これからの私たちの生活をより良いものへと支えてくれる「全固体電池」について、どういう仕組みなのか?リチウムイオン電池とどう違ってどう進化しているのか?を一緒に学んで行きたいと思います。


                                  橋本総業株式会社
                                  東雲研修センター事務局


INDEX
【1】研修情報‥‥東雲研修センター 定期研修情報
【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座‥‥【全固体電池】
【3】全固体電池の最前線2023
【4】編集後記‥‥エコ次郎の小ネタ横町
 
【1】東雲研修センター 定期研修情報
 ◎東雲研修センターは感染予防対策徹底中!!
   東雲での研修は、実習を伴うことから濃厚接触の可能性があります。
   感染防止には万全の体制で臨んでおります。詳しくはHPをご覧下さい。

 東雲研修センターの定期研修は、直接のお客様だけでなく、メーカー様や関係団体、橋本総業(株)と多少でも関係のある方々でしたらどなたでも受講できます。
 現在東雲研修センターで募集している研修のご案内です。特徴は、座学だけでなく研修によって現調、試運転、設置、組立などの実習が含まれていて、ホームページから申し込みが出来ます。是非ご検討下さい。



【現在受講生募集中の研修一覧 (2024年3月まで) 】
12月7日(木)エアコン施工研修10:00〜17:0012,000円10名
12月12日(火)配管接続研修10:00〜14:006,000円15名
1月11日(木)エアコン施工研修10:00〜17:0012,000円10名
1月16日(火)システムバス現調研修10:00〜15:006,000円15名
1月23日(火)ガス給湯器・ハイブリッド給湯器現調研修10:00〜15:006,000円15名
2月6日(火)キッチン現調・施工研修10:00〜16:006,000円15名
2月22日(木)便器・WL設置研修10:00〜15:0010,000円15名
3月22日(金)パッケージエアコン施工研修10:00〜17:0015,000円6名
3月28日(木)エアコン施工研修10:00〜17:0012,000円10名

  * 今年度より一部の受講料を部材価格の影響から改定させていただきます。ご了承願います。

 お申し込みは こちらから

 ◎東雲で開講の研修は昼食をご用意しています。
 ◎受講料は税込です


【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座
本日のお題 【全固体電池】
エコ娘 エコ次郎先生、こんにちは。
去年の夏頃の話しなんですけど、EVの未来がお題の時に「全固体電池」っていうのについて教えて頂いたことがあったじゃないですか。自動車メーカー各社が開発に力を入れているって。そんな話しすっかり忘れていたんですけど、つい最近TVで「全固体電池」の名前を聞いて、そう言えばあの時は「リチウムイオン電池の上を行くものがそう遠くない未来に出来るんだー」ってふんわり思っただけで具体的にどういうモノなのか?って気にならなかったなって思ったんです。液体を使わないって事くらいしか結局私の記憶には無くて、もっと詳しく教えて頂けば良かったなって、今更なんですけどね(笑)
エコ次郎 エコ娘くん、さすがです!TVでその名前を聞いて思い出して下さった事にワタクシは感動しています。難しいテーマだったのに良く覚えていて下さいましたね。
せっかくお話し頂いたので、今回は「全固体電池」とはどのような物なのか?リチウムイオン電池とはどこがどう違うのか?どういった事での使用が期待されているのか?についてご説明を差し上げたいと思います。
エコ娘 良かった、エコ次郎先生が優しくて(笑) 今日もよろしくお願いします♪
エコ次郎 先ずは「リチウムイオン電池」がどういう仕組みかをご説明しますね。
リチウムイオン電池は私たちの生活の中でとても身近なものになっていますが、エコ娘くんはリチウムイオン電池が何に使われているかはご存知ですよね?
エコ娘 もちろんです!これこれ、携帯電話!モバイルバッテリーもそうかな?
エコ次郎 正解です。リチウムイオン電池は従来の使い捨て乾電池とは違って、充電して何度も使えるとても便利なものですね。
ではリチウムイオン電池はどうして繰り返し使えるのか?なのですが、まず“電池”とは「電子が負極から正極に移動すると電流が発生する」というものです。この電子の移動が一方通行なのが使い捨て乾電池です。しかしリチウムイオン電池は使った状態で充電すると、充電器の電圧で正極に集まっていたリチウムから「電子」が離れ、「電子」とリチウムイオンに分かれます。そして「電子」が負極に移動すると、「電子」に引き付けられてリチウムイオンも負極に移動し、充電された状態になるのです。充電済みで電源を入れると、今度は「電子」が負極から正極に流れて行き、リチウムイオンもまた正極に戻って行くので電流が流れる、と言う訳です。
エコ娘 つまり「電子の移動」なんですね。難しいけど、1回しか移動できないのが使い捨て乾電池、何度も行ったり来たりできるのがリチウムイオン電池ですね!
エコ次郎先生、その電子が移動する負極と正極の間ってどうなっているんですか?
エコ次郎 良いところに気付きましたね。負極と正極の間は電解質になるのですが、リチウムイオン電池の場合は電解質が「有機電解液」つまり液体なのです。イメージとしては負極と正極というバンズに「有機電解液」というパテが挟まれている感じです。
エコ娘 なるほど、ハンバーガーを想像すれば良いのか!分かりやすい。
エコ次郎 ハンバーガーなのですが、パテが「有機電解液」という液体で出来ているものがリチウムイオン電池、固体電解質というハンバーグのように固まっているものが「全固体電池」と考えて下さい。
エコ娘 あっ!なるほど!「全固体電池」の“固体”ってそういう事なのかー!何かすごくスッキリ(笑)
でも先生、ふと思ったんですけど、液体の中を電子が移動するのは分かるんですけど、固体の中でも移動って出来るんですか?
エコ次郎 不思議に思いますよね。実は固体電解質の研究はリチウムイオン電池が実用化される前から始まっていたそうで、長年の苦労の甲斐があって液体よりも電子が安定的に動ける電解質が開発されたのです。とは言ってもリチウムイオン電池だって優秀なんだから電解質が液体じゃダメなの?と思うかも知れませんが、固体になるメリットはとても大きいんですよ。
まず【1】液漏れの心配が無いので安全性が高まります。リチウムイオン電池に外部から強い衝撃が掛かると有機電解液が漏れる恐れがあり、そこから発火する可能性があります。また、有機電解液は肌に触れると化学やけどを引き起こす危険性があるんですよ。液漏れの心配がないと『【2】構造の制限も無い=設計の自由度も格段に上がる』ので、小型化や薄型化もOK。重ねたり折り曲げたりなんて言う事も出来ちゃうんです!
続いて【3】温度変化への耐性です。リチウムイオン電池は低温では有機電解液の粘度が高まってしまって電圧が低下し、逆に60度以上の高温では劣化してしまいますが、全固体電池は温度環境でパフォーマンスが左右されません。真冬にスマホの充電が見る見る間に減ってしまった、という経験はありませんか?あのような極端に不安定になる事が全固体電池ではありませんので、あらゆる環境下での活躍が見込めます。
【4】 急速充電、これも全固体電池が期待される大きなポイントです。電池は急速に充電するほど熱を保つので、熱に弱いリチウムイオン電池は充電に時間が掛かるのですが、先程も述べた通り全固体電池は「温度変化への耐性」があるので、安全に急速充電ができると言われています。
エコ娘 すごーい!高速充電の上を行く急速充電!!私、夜寝る時についうっかりスマホを充電器に繋ぐ前に寝落ちしちゃって、朝起きたら充電が無い!って焦ることがあるし、そういう時に限ってモバイルバッテリーも充電が無かったりするから、もしスマホにも全固体電池が搭載されて急速充電が当たり前になってくれたら本当に助かるな〜。
エコ次郎 その失敗は私も常連ですので、全く同じことを考えていました(笑)きっと日本国民だけではなく、世界中の人々が待ち望んでいますよね。
エコ娘 大容量で急速充電ができたら尚良しですね!あ、それが期待されているのが全固体電池のEVっていう事だったのか!やっと繋がりました!
エコ次郎 さすがエコ娘くん、その通りです。全固体電池が期待される分野はEVが最も良く知られていますが、EVに留まらず充電して使うあらゆるモノに対して期待が高まっています。ちなみに全固体電池は製造方法によって主に2種類に分類されまして、1つが電解質に粉や粒を集めた粉体が使われていて大容量に向いている、EVに搭載予定の「バルク型全固体電池」、もう1つが真空状態で電極の上に薄い膜状の電解質を積み上げて作られる「薄膜型全固体電池」。後者は各材料層が薄い為にバルク型よりも蓄えられるエネルギー量が少なく、大きな容量は期待できませんが、リサイクル寿命が長く、長持ちするのが特徴です。製造しやすく小型であるため、センサーといった小さなIoTデバイス向きで、実はもう実用化されているんですよ。
エコ娘 え、すごい!もうですか?!そんなの聞いたらバルク型の実用化にも益々期待が高まっちゃいますね!
先生、現行のリチウムイオン電池搭載のEVって充電時間が結構長くて、ガソリン車と同じくらいの距離か、それ以下くらいしか走れないっていうイメージがあるんですけど、バルク型になったらそこってかなり改善されるんですか?どれくらいを目指して開発されているんでしょうね。
エコ次郎 今現在のEVはフル充電するには急速充電でも1時間近く、普通充電だと10時間近くかかるケースも珍しくありません。航続距離も短いものだと250km程度、長いものでも600kmくらいなので毎日車に乗る場合は小まめな充電が必須です。夜間に充電すれば良いとは思っても緊急で車が必要になる事もあるかと思いますし、10分もあれば満タンに出来るガソリン車と比べるとちょっと不便に感じることはあるかも知れないですね。
しかしです。丁度その点について今年6月にトヨタから発表があったのですが、トヨタの掲げる数値は耳を疑うような目標でした。発表したからには実用化の目処が付いて来たのだろうと思いますが、全固体電池の最前線情報は他からも多数発表されていて、開発が過熱しています。
あっと驚くような内容ですので、トヨタの情報も含め、次の項目で“全固体電池の最前線2023”についてお伝えしたいと思います。
エコ娘 え〜興味津々なんですけど〜!まだ分からないけど、きっと凄い目標値なんだろうな。早く聞きたいです!
エコ次郎 はい、では早速ご紹介したいと思いますので、今回も私エコ次郎にお任せ下さい!
エコ娘 は〜い、ではよろしくお願いしまーす!

【3】全固体電池の最前線2023

トヨタ自動車
6月、トヨタ自動車は次世代電池の本命とされる「全固体電池」について、早ければ2027年にEVでの実用化を目指すと発表しました。航続距離は満充電で1,200km、更に急速充電時間は驚異の10分以下(充電率10%→80%)を目標に開発を進めているとの事。もし実現すると、航続距離は現行EV「bZ4X」の2.4倍になるという事です。

東京工業大学などの研究グループ
7月、東京工業大学などの研究グループは、次世代電池として期待される全固体電池において、正極の電極面積あたりの容量がこれまでの1.8倍、リチウムイオンの伝導率が最大で3.8倍となり、いずれも世界最高性能を達成したと発表しました。従来、全固体電池の固体電解質の伝導率が低いと正極の厚みを増して、容量を増やすことが困難であったが、新しい電解質を応用することにより1mm膜厚の正極を開発し、全固体電池の特性を飛躍的に向上させることに成功したとの事です。

パナソニックHD
9月、パナソニックHDはEVではなく小型ドローンなどを対象とした全固体電池を2020年代後半に実用化する方針を明らかにしました。既存のリチウムイオン電池だと容量の8割を充電するのに1時間かかるところを3分に短縮。配管検査用のドローンなど、短時間で充電を繰り返す用途を想定しているとの事です。

マクセル
6月、産業用機械向けの全固体電池の量産を始めました。大きさは1センチ四方、厚さ4ミリの小型で容量は少ないが、105度の高温でも使うことができ、過酷な環境でも劣化しにくく10年以上の寿命を誇るとの事。これまで頻繁に行っていた電池交換の作業が不要になることで、製造現場での人手不足にも対応できるそうです。2030年頃までにスマートフォンや中型ドローンにも対応可能な容量の製品を開発する考えです。


【4】編集後記 〜エコ次郎の小ネタ横町〜

 皆さま、こんにちは。エコ次郎でございます。ここの所急に冷え込む日があり、冬を感じるようになりました。今年は急激な温度変化による寒暖差アレルギーで病院を受診する方が多いそうです。私も朝晩の冷え込みで鼻水が出る事が今年は多いと感じていますが、いつもより1枚多くインナーを着用したり、靴下を厚手のものにしてみたりする事で多少緩和はされるかも知れないので、そろそろ取り入れてみようと思っています。

 さて、今月は「ゼロ・キロメートル・レストラン」をご紹介したいと思います。先日SDGs関係の記事を読んでいまして、ヨーロッパで「地元の食材、主にレストランから半径100km圏内から仕入れたものを提供すること」という考えがコンセプトのレストランが関心を集めている事を知りました。これは地域の食の伝統を守り、環境を保護することを重要視しているそうで、日本の「地産地消」にも似ていますね。

 地元から提供される食材は新鮮で瑞々しく、栄養価も高くて美味しい。近隣の農家、漁師、職人から仕入れることで地域経済の活性化になる。そして最も重要で意義深いメリットは「食品の長距離輸送に伴う温室効果ガス排出量の劇的な削減」なのだそうです。確かに二酸化炭素排出量は地球温暖化問題の大きな課題ですので、食の質を下げる事なくこの課題に貢献できるのは、とても素晴らしい取り組みだと感じます。

 まだ日本では浸透していないコンセプトのレストランのようですが、これから急速に広がって行くかも知れませんね。何故ならば、我が国では「物流の2024年問題」があり、物流ドライバーが不足すると懸念されています。私はこの問題はかなり深刻だと捉えていまして、特に鮮度が命の農産物・海産物等への影響は大きいと考えています。ですので、ゼロ・キロメートル・レストランがもしかしたら救世主になるのでは?と思いました。

 地球に優しく、物流ドライバーに優しく、そして食材の作り手も消費者も喜びが倍増するレストラン。こんなレストランが出来たら私は是非足を運びたいです。もちろん地方の美味しいものも頂きたいので、全てのレストランが生まれ変わってしまったらそれは大変困りますが、例えば「今日は北海道の魚を」「京野菜を使ったおばんざいを」という日もあれば「今日は地元の食材を味わうお店で」といった具合に、“食べたいもの”だけではなく“コンセプト”でレストランを選ぶユニークな発想があっても面白いな、と。そんな未来を期待しながら、今夜は“冷蔵庫の残り物を無駄なく食す”がコンセプトの我が家の夕食を楽しみたいと思います。



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